版権とはどのような権利か

最終更新日 2023年2月24日 by acebrow

アニメや漫画、ゲームなどが好きだという人は多いでしょう。
そのような人なら一度は版権という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
この言葉は著作権の旧称を指す言葉ですが、著作権とは異なる特徴を持っています。

現代では著作権や商標権などを表すために使われる

これは著作物の一部である図書などに関する権利のことであり、音楽や写真、映画などは対象にはなりません。
現代では著作権や商標権などを表すために使われることが一般的です。
アニメ製作会社などを版権元と呼んだり、アニメキャラクターの絵を版権絵などと呼んだりします。
また、権利者が関わったことを表す公式といった呼び方もあります。
同人グッズは基本的に非公式な物ですが、権利者と交渉して一時的な販売許可をもらう場合は一日版権などと呼ぶことになります。
日本では明治時代にこのような概念が紹介されることとなりました。
ですが、それ以前にはそのような考えはなかったということです。

版権の歴史

かつては文字や絵が刻まれた版木を製作した人や、所有していた人がその出版物に関する権利を持っていたということです。
当時は1枚の版木に文字や絵を刻み、版木を元に木版印刷を行っていたのですが、版木は一字でも刻み間違いがあると価値が無くなってしまうものでした。
そのため1冊の本を出版するまでにかなりの費用と時間がかかってしまったのです。
このような理由により、版木自体への財産的価値が認められることはもちろん、そこから生み出される出版物に対する権利も派生したのです。
そのため版木の製作や印刷を行う版元、版木自体を購入した人がそれらに関する権利を持っていたということです。

1875年の出版条例の改正により版権というものが導入される

そして、版木に刻む文章や絵自体を制作した著作者の権利については、間接的にしか考慮されなかったのです。
しかし、1875年の出版条例の改正により、版権というものが導入されました。
これによって大きな変化が起こったのです。
出版物の主な権利者は版木を持つ人ではなく、著作者であると規定されるようになったのですが、この時とほぼ同時に金属活字が導入されました。
これは日本の出版の世界に大きな混乱をもたらすこととなったのです。
版木から出版物への権利の派生が否定されただけでなく、木版印刷が衰退したことで版木の財産的価値が無くなりました。

まとめ

結果として版木の価値により、資金を得ていた版元の多くが経営に行き詰まって破綻しました。
残った業者もそのままでは経営が成り立たなくなってしまうため、別の経営形態を持つ印刷業や出版業などに転換していくことになったのです。

 

参考
版権購入